秘密証書遺言の仕組みと注意点
秘密証書遺言は、遺言書の内容を誰にも知られずに作成・保管したい場合に利用できる遺言方式です。
遺言の存在を公的に証明しつつ、内容は秘密にできるという公正証書遺言と自筆証書遺言の中間的な位置付けにある制度です。
法務局保管制度を利用した自筆証書遺言などもあり、秘密証書遺言の利用は少ないです。
秘密証書遺言の仕組み
秘密証書遺言では、遺言者があらかじめ作成した遺言書を封筒に入れて封印し、それを公証人と証人2名の前で提出します。公証人は遺言書の存在を確認し、その旨を封紙に記載し、遺言者・証人・公証人が署名押印を行います。
この方式の最大の特徴は、遺言書の内容を誰にも見せることなく、公的に存在だけを証明できる点にあります。
秘密証書遺言の手順
- 遺言書を自筆またはパソコンで作成(署名押印が必要)
- 遺言書を封筒に入れて封をする
- 公証人と証人2名の前で遺言書の提出
- 封筒の表に公証人が「この封書は遺言書である」旨を記載
- 遺言者・証人・公証人が封紙に署名押印
秘密証書遺言のメリット
- 内容を誰にも知られずに済む(公証人や証人にも開封されない)
- パソコンで作成可能(全文自筆でなくてもよい)
- 形式を守れば法的効力がある
実務上の注意点
- 方式に不備があると無効になるリスクが高い
公証人は内容を確認しないため、法的に不備があっても気づかれず、死後に無効と判断されるおそれがあります。 - 家庭裁判所で検認が必要
公正証書遺言と異なり、相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが必要です。 - 遺言書の発見・保管が本人任せ
遺言者が保管するため、紛失・未発見・改ざんのリスクがあります。 - 証人が2人必要
証人の資格制限(民法974条)にも注意が必要です。
秘密証書遺言が適しているのはどんな人か?
以下のような方には、秘密証書遺言が選択肢となる場合があります。
- どうしても遺言内容を誰にも見られたくない方
- 自分でパソコンなどを使って遺言書を作成したい方
- 法律知識に自信があり、形式要件を自力で満たせる方
まとめ
秘密証書遺言は内容の秘匿性が高い一方で、無効リスクや検認手続きの負担があるため、慎重な作成と保管が求められます。
法的に確実な遺言を残したい場合は、公正証書遺言や法務局保管制度の利用も検討し、自分に合った方式を選びましょう。