遺言の基本構成と表現方法
遺言書は、遺言者の最終意思を法的に明確に伝えるための重要な文書です。民法上の要件を満たすだけでなく、内容が明確で読みやすく、誤解のない表現で書かれていることが大切です。ここでは、遺言の基本的な構成と、表現上のポイントを解説します。
1. 遺言書の基本構成
遺言書は、以下のような順序・構成でまとめるのが一般的です。
- タイトル(遺言書)
文書の冒頭に「遺言書」と明記することで、他の文書と区別しやすくなります。 - 前文(意思表示)
「私は、次のとおり遺言する。」など、遺言の意思であることを示す一文を記載します。 - 本論(具体的な内容)
相続人・受遺者への財産の分け方、遺言執行者の指定、付言事項などを記載します。 - 日付
「令和○年○月○日」のように、年月日を明確に記載します。 - 署名・押印
遺言者本人の署名と押印が必須です。
2. 表現方法のポイント
遺言書では、曖昧な表現を避け、法的に明確な文言を用いることが大切です。以下の点に注意しましょう。
- 「長男」「次女」などではなく、氏名で特定する
例:「長男 太郎(昭和○年○月○日生)」など。 - 財産も特定できるように記載する
例:「東京都○区○丁目○番○の土地」「○○銀行○○支店 普通預金口座(口座番号1234567)」 - 断定的な表現を用いる
「~してほしい」ではなく「~に相続させる」「~に遺贈する」など。
3. 用語の使い方に注意
民法上の意味が異なる用語を誤って使うと、意図と異なる解釈をされる可能性があります。
- 「相続させる」:法定相続人に対してのみ用いる。
- 「遺贈する」:法定相続人以外、または相続人に対しても自由財産の贈与的処分として用いる。
- 「与える」「譲る」など:法的に意味が不明確となるため避ける。
4. 付言事項の活用
遺言書には、法的効力はないが、遺言者の想いを伝える「付言事項」を記載することも可能です。
例:「家族が争わないことを願っています」「妻には長年の感謝を伝えます」「遺留分の行使をしないよう」など。
まとめ
遺言書は、形式だけでなく内容の分かりやすさ・明確さ・誤解のなさが非常に重要です。
誰にでも通じる文章で、自分の意思が正確に伝わるように記載しましょう。
また、書式に不安がある場合は、専門家に確認してもらうことで、無効や紛争を防ぐことができます。