遺言・後見制度との違い | 家族信託でできること・できないこと | 家族信託

遺言・後見制度との違い

家族信託を考えるとき、多くの方が「遺言や後見制度と何が違うの?」と疑問に思われます。
これら3つはいずれも「将来への備え」に使える制度ですが、それぞれ目的やタイミング、できることが異なります。

遺言との違い

遺言(いごん)は、自分が亡くなったあとの財産の分け方を指定する制度です。あくまで「死後」に効力を持つもので、生きている間の財産管理には使えません。

一方で家族信託は、元気なうちから契約を結び、判断力が落ちたあとも継続的に財産を管理することができます。
しかも、死亡後に財産をどう引き継ぐかまで信託の中で決めておくことも可能です。
つまり、家族信託は「生前から死後まで」使える柔軟な仕組みなのです。

家族信託では、信託契約書に「誰に財産を承継させるか」を明記しておけば、その内容に従って財産が移転されます。この点で、信託契約は遺言と同等の効力を持つといえます。

また、信託財産についてはすでに受託者に名義が移っており、承継先も契約で決まっているため、相続発生後に遺産分割協議を行う必要がありません。財産の行き先が明確なため、相続手続きがスムーズになり、争いを防ぐ効果もあります。登記手続きも信託契約書の写しによって行います。

後見制度との違い

後見制度は、認知症などで判断能力がなくなった人を守るために、家庭裁判所が選んだ後見人が代わって契約や財産管理をする制度です。
ただし、後見人の権限には限界があり、積極的な資産運用や売却などは自由にできません。裁判所の許可が必要になることも多く、手続きも慎重に行われます。

家族信託では、委託者が元気なうちに「誰に、何を、どうしてほしいか」を自由に決めておくことができ、受託者もその契約に基づいて柔軟に対応できます。
つまり、家族信託は「判断能力があるうちに備える制度」であり、後見制度は「すでに判断能力がなくなってから使う制度」という違いがあります。

整理すると

制度名 いつから効力がある? 誰が財産を管理する? 何ができる?
家族信託 契約を結んだときから 受託者(主に家族) 柔軟な財産管理・売却・死後の承継も可能
遺言 本人が亡くなったときから 遺言執行者(または相続人) 財産の分け方を指定できる(生前は不可)
後見制度 判断能力が低下してから 後見人(家庭裁判所が選任) 現状維持的な財産管理(処分・運用は制限)

上手に使い分けることが大切

家族信託は「生きている間の管理」から「亡くなったあとの承継」までをカバーできる制度です。
ですが、すべてを家族信託だけでまかなう必要はなく、遺言や後見制度と組み合わせることで、より安心な設計が可能になります。

たとえば、

  • 家族信託で親の財産を管理しつつ
  • 任意後見で生活や医療契約をカバーし
  • 遺言で相続のルールを明確にする

といった形で、「それぞれの制度の強み」を活かすことが、今後の家族にとって大きな安心につながります。

【注意事項】
本記事は、法律に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件についての助言を行うものではありません。特定の事案や状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

また、正確性を期すよう努めておりますが、本記事の内容についての完全な正確性や最新性を保証するものではなく、本記事の利用により生じたいかなる損害についても当方は一切の責任を負いかねます。

法令や規制は頻繁に変更される可能性がありますので、必要に応じて最新の情報をご確認いただくことをお勧めいたします。
家族信託
タイトルとURLをコピーしました