相続人への遺産分配の記載方法
遺言書では、相続人に対してどの財産をどのように分けるのかを明確に記載することが重要です。
記載方法が曖昧であったり、特定が不十分であると、遺言の解釈をめぐって争いになる原因となります。ここでは、法的に有効かつ誤解のない分配記載の基本を解説します。
1. 法定相続人への分配には「相続させる」と記載
遺言書では、相続人に対して財産を承継させる場合、「相続させる」という表現を用いるのが一般的かつ安全です。
「譲る」「与える」などの曖昧な表現ではなく、法的意味の明確な用語を使用するようにしましょう。
例:
- 長男 山田太郎(昭和50年1月1日生)に、下記の不動産を相続させる。
- 長女 山田花子(昭和55年5月5日生)に、○○銀行○○支店の普通預金(口座番号1234567)を相続させる。
2. 財産は具体的に特定する
財産の特定が不明確だと、「どの財産を指しているか不明」として、実際に相続手続きに支障が出ます。次のような情報を明記しましょう。
- 不動産:所在地・地番・種類・面積など(登記事項証明書に準拠)
- 預貯金:金融機関名・支店名・口座種別・口座番号
- 有価証券:証券会社名・銘柄・株数
- 動産(車・貴金属など):品名・登録番号・所有場所など
3. 相続分の割合で指定することも可能
特定の財産を個別に分けるのではなく、全財産を相続分で指定する方法もあります。
この方法は、遺産全体のバランスを見て相続させたい場合や、遺産の内容が変動しやすいときに有効です。
例:
- 私の有する一切の財産を、長男 山田太郎に2分の1、長女 山田花子に2分の1の割合で相続させる。
ただし、割合指定のみだと、実際の分け方をめぐって相続人間で協議が必要になるため、争いを避けたい場合は個別指定を優先するとよいでしょう。
4. 特定の財産を複数人に共有で相続させる場合
ひとつの不動産を複数人で分けたい場合などは、持分割合を明記して共有させることも可能です。
例:
- 東京都○区○町○番の土地(地番○番)を、長男 山田太郎に3分の2、長女 山田花子に3分の1の割合で共有にて相続させる。
ただし、共有は将来的な管理や売却に支障をきたすことが多く、不動産は単独相続とするほうが望ましいケースが多い点にも留意が必要です。
5. 相続人の範囲に注意
相続人以外に財産を与える場合(例:内縁の配偶者、孫、知人、団体など)は、「遺贈する」という表現を用いる必要があります。
「相続させる」は法定相続人にのみ使える文言です。
まとめ
相続人への遺産分配を遺言書に記載する際は、「誰に」「どの財産を」「どういう方法で」相続させるのかを具体的に記載することが重要です。
表現の曖昧さや財産の特定不足は、遺言の無効や相続トラブルの原因になります。
心配な場合は、遺言書の作成前に相続関係の整理と財産の一覧作成を行い、専門家の助言を受けることをおすすめします。