財産目録をパソコンで作成できるか
自筆証書遺言は、基本的に遺言の全文を遺言者が自筆しなければなりませんが、2020年の法改正により、財産目録についてはパソコンで作成することが可能となりました(民法968条2項)。
パソコン作成が認められるのは「財産目録」のみ
財産目録とは、遺言で処分の対象となる財産を一覧にしたものです。たとえば以下のような形式で、ワープロ・表計算ソフトなどで作成しても構いません。
- 預貯金:○○銀行○○支店 普通口座 1234567
- 不動産:○○市○○町○丁目○番○ 土地・建物
- 株式:○○証券 ××株式会社 100株
さらに、通帳のコピーや不動産登記事項証明書などを添付することも可能です。
形式上の注意点
財産目録をパソコンで作成する場合でも、そのページごとに遺言者本人が「署名」と「押印」を行わなければなりません。これがないと、形式的に無効と判断される可能性があります。
たとえば、財産目録が3ページにわたる場合、すべてのページに署名と押印が必要です。綴じている場合でも、それぞれのページごとに確認が求められます。
目録と本文の区別を明確に
遺言本文とは別に、「別紙 財産目録」などのタイトルを付け、本文中で「別紙の財産目録記載の財産を~」と記すことで、本文と目録の切り分けが明確になります。こうした工夫により、遺言全体の明瞭性・実務的な完成度が高まります。
まとめ
財産目録はパソコンで作成しても構いませんが、各ページに署名と押印が必要である点を忘れてはなりません。自筆の本文と組み合わせて、法的に有効かつ読みやすい遺言を目指しましょう。