贈与税・相続税・所得税の考え方
家族信託と税の関係
家族信託を活用する場合、財産の「名義」や「管理方法」が変わるため、税金が発生するのではないか?という不安を持たれる方も多くいらっしゃいます。
実際には、家族信託においてどの税金が発生するかは、信託の設計内容によって変わるため、以下のように整理しておくと理解しやすくなります。
贈与税の基本
贈与税は、個人が他人から金銭や不動産などの財産を無償で受け取った場合に課税される税金です。
家族信託では、信託の設定時に受益者が委託者以外の人である場合、贈与とみなされて贈与税が発生する可能性があります。
課税されるケース:
- 委託者=親、受益者=子(委託者≠受益者) → 贈与とみなされる
- 信託の開始時点で受益権が移転する設計になっている場合
非課税となるケース:
- 委託者=受益者(管理型信託) → 名義の移転だけで実質的な財産の移転なし
- 特別障害者扶養信託制度を活用している場合 → 最大6,000万円まで非課税
相続税の基本
相続税は、人が死亡したときにその財産を相続・取得した人に課される税金です。
家族信託では、信託財産が相続財産に含まれるかどうかが、相続税の課税に大きく影響します。
相続税が課税される主な場面:
- 信託設定時、委託者が受益者だった場合 → 委託者の死亡時に信託財産も相続財産とされる
- 委託者≠受益者型で、受益者が死亡 → 受益権の相続に相続税が課税される
信託財産が「相続財産に含まれない」ケース:
- 委託者の生前に受益者へ贈与されたとみなされる(ただし贈与税の課税が先行)
- 信託終了後の帰属財産は、契約で定められていれば非課税で移転(贈与・相続の対象外)
所得税の基本
所得税は、収入に対して毎年課税される税金です。
信託財産から利益(賃料、利息、配当など)が発生する場合、それは受益者の所得とされ、所得税の課税対象になります。
ポイント:
- 受託者ではなく受益者が納税義務者
- 賃料収入 → 不動産所得として課税
- 利息や配当 → 利子・配当所得として課税
受益者が高齢者や障害者であっても、所得税の納税義務は発生します。
ただし、基礎控除や障害者控除を利用すれば課税所得がゼロになるケースも多く、実際に納税が必要ないこともあります。
3つの税の関係を図解すると
| タイミング | 税目 | 内容 |
|---|---|---|
| 信託設定時 | 贈与税 | 受益者が委託者以外の場合、課税対象となることがある |
| 信託の運用中 | 所得税 | 受益者に賃料・配当等があれば所得税の対象 |
| 信託終了時 or 死亡時 | 相続税 | 信託財産が受益者の死亡によって承継される場合に課税 |
まとめ
- 家族信託では名義変更と課税は必ずしも一致しない
- 贈与税・相続税・所得税それぞれに課税される条件が異なる
- 信託の設計内容により税務上の取り扱いが大きく変わるため、事前の確認が重要
家族信託の活用では、税務上の理解と、信託契約の内容が密接に結びついています。
将来的なトラブルや想定外の税負担を避けるためにも、税理士や専門家と連携して丁寧に設計することが大切です。