信託口口座とは何か
家族信託を実際に始めたとき、最初につまずきやすいのが「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」という聞きなれない言葉です。
これは簡単に言うと、「信託された財産を入れておく、専用の銀行口座」のことです。
なぜ信託専用の口座が必要なの?
家族信託では、受託者が財産を預かって管理しますが、そのお金を自分の口座に入れてしまうと、個人のお金と混ざってしまうおそれがあります。
それでは、誰のお金なのかが分からなくなってしまい、信託としての管理がうまくいきません。
そこで登場するのが「信託口口座」です。この口座は、名義は受託者、でも中身は受益者(=財産の持ち主)のために使うお金という扱いになります。
つまり、「受託者の名前」で作りますが、その中に入っているお金は信託財産として、はっきり分けて管理することができます。
信託口口座の名義はどうなる?
実際に口座名義は、次のように表記されます。
【例】
山田太郎 信託口(やまだたろう しんたくぐち)
このように、「受託者の名前 + 信託口」となります。これにより、この口座は信託のためのものだと銀行側でも明確に区別することができます。
どの銀行で作れるの?
信託口口座は、すべての銀行で取り扱っているわけではありません。現時点では、
- 三井住友信託銀行
- 三菱UFJ信託銀行
- りそな銀行
- 一部の地方銀行・信用金庫
などが対応しています(ただし支店や担当者によって対応に差があることもあります)。
また、口座開設には信託契約書の提示や、銀行所定の審査が必要になるため、事前に相談や手続きの準備をしておくことが大切です。
信託口口座を使うメリット
- 信託財産を他の財産と分けて明確に管理できる
- 信託の運用状況が通帳で把握でき、透明性が高い
- 万一トラブルがあったときも、信託財産として扱われやすい
まとめ
信託口口座は、家族信託を「かたちあるもの」にする第一歩とも言えます。
制度として信託契約を作るだけではなく、実際の管理体制を整えることが、信頼される家族信託の運用には欠かせません。