不動産の名義変更(信託登記)
信託登記とは
家族信託で不動産を信託財産とする場合、登記簿上の名義を「受託者名義」に変更する手続きが必要です。
これが「信託登記」と呼ばれるもので、所有権移転登記とは性質が異なります。
信託登記は実際の所有権を移すものではなく、管理権限の移行を登記簿に反映させるための手続きです。
名義上は受託者に変わりますが、受託者の個人財産にはなりません。
登記簿の例
権利部(甲区)
| 2 | 所有権移転 | 平成20年4月20日 ********** |
原因 平成20年1月 売買 所有者 |
| 3 | 所有権移転 | 平成29年5月10日 ********** |
原因 平成29年5月7日信託 受託者 |
| 信託 | 信託目録第1号 |
信託目録第1号が登記簿に追加されます。
登記簿上の表示
信託登記を行うと、法務局の登記簿には以下のような表記がなされます。
例:
所有者:山田太郎(信託口)
信託目録:信託の目的、受益者、信託期間などが記載される
信託登記の目的
- 不動産が信託財産であることを公的に示す
- 管理者(受託者)の名義と、所有者(受益者)の利益を分ける
- 第三者に対して信託の存在を対抗できるようにする
信託登記をしておかなければ、法的に信託があったことを第三者に主張できず、登記簿上も委託者のままとなってしまいます。
登記の必要書類
- 信託契約書(原本または認証済み写し)
- 委託者・受託者の本人確認書類
- 固定資産評価証明書(登録免許税の計算に必要)
- 登記申請書(司法書士が作成することが一般的)
手続きの流れ
- 信託契約の締結
- 登記内容の確認(法務局または専門家)
- 必要書類を準備
- 司法書士による登記申請
- 法務局による審査・登記完了
通常、登記の完了までは1週間〜10日程度です。
登録免許税
信託登記にも登録免許税がかかります。計算方法は以下のとおりです。
- 税率:不動産評価額の0.4%(土地・建物ともに)
- 評価額:市区町村の固定資産評価証明書に記載された金額
所有権移転登記と比べて低率ですが、高額な不動産の場合は事前に試算が必要です。
注意点
- 信託契約の内容が登記簿に記載される(プライバシー面に配慮した設計が必要)
- 受託者が複数いる場合や、途中で変更する場合は登記の追加・変更手続きが必要
- 金融機関との連携(担保設定や売却予定がある場合は特に)
まとめ
- 不動産を信託する際は、信託登記が必須
- 所有者の名義が受託者に変わるが、実質の所有者はあくまで受益者
- 登記を通じて、信託の存在と管理権限を法的に明確化する
信託登記は、信託の実行を「外から見える形にする」ための重要な手続きです。
後のトラブルを防ぐためにも、早めに専門家と連携して確実に行うことが大切です。