長期的・継続的な財産管理と生活支援
支援は一時的ではなく「一生続くもの」
障害のある子を持つ家庭では、支援が一時的なものではなく、長期にわたる継続的なものであることが前提となります。
衣食住にかかる費用だけでなく、医療・介護・福祉サービスの利用料、生活の質を維持するための支出など、生涯にわたる経済的支援が必要になります。
遺言や一時的な贈与では対応しきれない
障害のある子に財産を残す方法として、遺言や生前贈与も選択肢として考えられますが、それだけでは次のような限界があります。
- 遺言では財産を渡すだけで、管理は他人任せになる
- 一括で贈与した場合、管理が難しい/使いすぎのリスクがある
- 成年後見制度では財産を柔軟に使うことが難しい
このような中で、生涯にわたり支援を継続できる仕組みとして、家族信託が非常に有効です。
家族信託による「仕組み化された支援」
家族信託では、障害のある子を受益者とし、親族を受託者にすることで、生活支援に必要な財産を管理・運用しながら段階的に給付するという仕組みを作ることができます。
たとえば、以下のような設計が可能です。
- 毎月の生活費として、信託口座から定額を支払う
- 医療費や福祉サービス利用料などを、必要に応じて受託者が支払う
- 収益物件がある場合は、その賃料を生活費として活用
- 信託財産の一部を定期的に現金化して支援に充てる
これにより、障害のある子自身に財産管理能力がなくても、生活の支援が長期的に継続される仕組みを実現できます。
受託者の変更・交代も想定した設計が可能
家族信託では、後継受託者や予備受託者をあらかじめ定めておくこともできます。
たとえば、最初は親が受託者として管理し、親が高齢になったら子や孫が受託者を引き継ぐという形です。
これにより、信託の仕組み自体は継続されながら、運用・管理する人だけが交代する柔軟な設計が可能になります。
障害年金や福祉制度との併用も可能
家族信託で支援を行っても、障害年金や福祉サービスの受給資格は通常影響しません。
信託財産は受託者が管理する仕組みであり、受益者本人の「自由に使える財産」とはみなされないためです。
ただし、制度の種類や支給要件によっては例外もあり得るため、個別の制度と信託設計との整合性については専門家の確認が必要です。
まとめ
- 障害のある子への支援は「長期的かつ継続的」であることが前提
- 遺言や贈与だけでは管理の難しさ・柔軟性の欠如などの課題が残る
- 家族信託なら、支援の内容・頻度・金額などを具体的に契約で設計できる
- 親族による引き継ぎ型の運用も可能で、長期の生活支援体制を維持できる
家族信託は、財産の管理と支援を“仕組み化”することで、障害のある子の人生を支える手段となります。
一時的な対応ではなく、生涯にわたる安定的な支援の形として、検討する価値の高い選択肢です。