信託の終了事由と手続き | 信託の終了・変更・トラブル対応 | 家族信託

信託の終了事由と手続き

信託が終了する主なタイミング

家族信託は、契約書で定めた終了条件を満たしたときに終了します。
終了事由は信託法および信託契約の内容に基づいて判断されます。

主な終了事由は以下のとおりです。

  • 信託契約で定めた期間が満了したとき
  • 信託目的が達成されたとき(例:障害のある子の死亡後)
  • 信託の目的が達成不可能になったとき
  • 信託契約で「○○の死亡により終了」などの事由が定められていたとき
  • 関係者全員の合意によって終了するとき

信託終了後の一般的な手続き

信託が終了すると、受託者は信託財産の最終整理と帰属手続きを行う必要があります。おもな流れは次のとおりです。

  1. 終了事由の発生を確認(例:受益者の死亡)
  2. 帳簿・口座などの最終収支整理
  3. 財産の帰属権利者への移転手続き(不動産なら所有権移転登記)
  4. 必要に応じて税務申告(相続税や所得税)
  5. 関係者への報告や明細書の作成

帰属権利者と税金の関係

信託が終了したとき、信託財産を誰が取得するか(帰属権利者)によって、税務上の扱いが大きく異なります

帰属権利者 信託の終了理由 課税の可能性 税の種類
受益者本人 契約で定めた期間の満了など 原則なし
受益者の相続人(例:兄弟) 受益者の死亡により信託終了 あり 相続税
第三者(親族など) 契約による期間満了または目的達成 場合によりあり 贈与税 または 所得税

特に注意すべきは、受益者の死亡による信託終了です。
この場合、信託財産は受益者の相続財産とみなされ、帰属権利者が相続人であっても相続税が課税されます。

不動産の手続きがある場合

信託財産に不動産が含まれている場合、以下の登記手続きが必要です。

  • 信託終了登記(信託の効力の終了を登記簿に反映)
  • 帰属権利者への所有権移転登記

これらの登記には、信託契約書・信託終了の事実を証明する書類・印鑑証明などが必要です。実務上は司法書士に依頼するのが一般的です。

トラブルを防ぐための注意点

信託終了時に想定されるトラブルを未然に防ぐためには、次のような対策が有効です。

  • 信託契約書で終了事由と帰属権利者を明確に定めておく
  • 信託終了後の財産承継方法を、他の相続手続きと整合させておく
  • 受託者が財産を処分・引き渡すまでのルールも決めておく
  • 税務処理が必要な場合は、税理士と連携して適切に対応

まとめ

  • 家族信託は、契約で定めた目的の達成や受益者の死亡などにより終了する
  • 信託終了後は、財産の帰属・登記・帳簿整理・税務申告が必要
  • 受益者の死亡に伴う終了では、帰属財産が相続税の対象となる
  • 円滑な終了のために、契約設計段階での工夫が重要

信託の終了は、その信託の“役割の完了”を意味します。
しかし、そこで初めて課税や登記などの実務が発生するため、契約設計の段階から出口を意識した準備が必要です。

【注意事項】
本記事は、法律に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件についての助言を行うものではありません。特定の事案や状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

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法令や規制は頻繁に変更される可能性がありますので、必要に応じて最新の情報をご確認いただくことをお勧めいたします。
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