借金・保証債務など負の財産の扱い
相続はプラスの財産(預貯金や不動産など)だけでなく、マイナスの財産(借金・保証債務など)も相続の対象になります。これを正しく理解しないまま手続きを進めてしまうと、後に大きな債務を背負うリスクがあるため、慎重な対応が必要です。
1. 負の財産とは
「負の財産」とは、被相続人が死亡時に負っていた返済義務のある債務のことを指します。以下のようなものが該当します。
- 借入金:銀行・消費者金融・知人等からの借金
- クレジットカード利用残高:支払済でない利用額
- 未払いの税金・公共料金・医療費など
- 保証債務:被相続人が連帯保証人になっていた場合、その義務も相続されます
2. 相続人が負債を引き継ぐ仕組み
相続人は、原則として被相続人の全ての権利義務を承継するため、負債も相続することになります。つまり、相続人が何も手続きをしなければ、プラスの財産と同時に借金も自動的に引き継ぐことになります(単純承認)。
3. 保証債務の注意点
保証債務は一見気づきにくい負債であり、通帳や財産目録には載っていないことが多いため、債務調査の段階で特に注意が必要です。保証契約書や被相続人の郵便物、信用情報機関への照会なども活用して調査を行いましょう。
4. 相続放棄・限定承認によるリスク回避
負債が多いと見込まれる場合には、相続の方法として以下の選択肢があります。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 一切の財産を相続しない(債務も含む) | 家庭裁判所へ死亡を知った日から3か月以内に申述 |
| 限定承認 | プラスの財産の範囲内で債務を返済 | 相続人全員での共同申述が必要、手続きが複雑 |
| 単純承認 | 何も手続きしない(全財産と債務を承継) | 後から放棄はできないため注意 |
5. 実務アドバイス
借金や保証債務があるか不明な場合は、相続開始後すぐに財産調査を行い、相続放棄を視野に入れて判断することが重要です。特に保証債務については、知らずに相続してしまうケースも多く見られるため、早期の専門家相談がトラブル防止につながります。