ペットの引き取りと供養など
ペットは法律上「物」として扱われる
日本の現行法では、ペット(犬・猫・鳥などの愛玩動物)は法的には「動産」、すなわち「物」として扱われます(民法第85条)。 したがって、ペットの世話や引き取りを含む死後の取り扱いは、一般的な財産や家財と同じく、相続や契約によって管理される対象になります。
飼い主が亡くなった場合、法定相続人がいればその相続人にペットの所有権が移ることになります。しかし、相続人がいない、あるいはペットを引き取る意思がない場合には、 行政が一時的に保護を行うか、最悪の場合には殺処分の対象となることもあり得ます。
死後事務委任契約におけるペットの取り扱い
死後事務委任契約では、ペットの引き取り、世話、飼育場所への移送、あるいは終生飼養施設への預け入れ等を、受任者に委任することが可能です。 契約書には、ペットの種類・名前・特徴・健康状態、預け先、希望する飼育環境などを具体的に記載しておくことが望まれます。
また、ペットの飼養にかかる費用について、預貯金や信託を活用して資金を確保しておくことも重要です。死後事務委任契約のみでは費用の提供義務までは担保できないため、 別途、負担金を交付する仕組み(遺贈、負担付き死因贈与等)との併用が推奨されます。
引き取り先の確保と契約の整備
ペットの引き取り先としては、以下のような選択肢があります:
- 信頼できる知人・友人への譲渡(契約で明確化)
- 動物保護団体やNPO法人(終生飼養を行う施設)
- 自治体と連携した一時保護→譲渡
実務上は、受任者がこれらの機関との連絡調整、搬送、手続き、費用負担の精算までを行うことになります。 契約書には「誰に」「どのような方法で」「どのような順番で」引き渡すのかまで、可能な限り具体的に定めておくことが大切です。
ペットが死亡した場合の供養
飼い主の死後にペットも死亡した場合や、すでに亡くなっていたペットを供養したいという希望がある場合には、ペット供養を専門とする寺院や霊園と連携する方法があります。
一般的には、次のような供養の方法が取られます:
- 動物霊園での火葬と納骨
- 飼い主の墓に合葬(可能な墓所に限る)
- ペット専用の納骨堂や合同墓地
死後事務委任契約において、「ペットの遺体の火葬」「供養方法」「納骨場所」についても希望を明記することで、受任者による対応がスムーズになります。 また、施設によっては事前契約が必要な場合もあるため、契約時点での確認が望ましいです。
ペットを「遺された家族」として守るために
単身者にとって、ペットは事実上の家族であり、自身の死後にも適切に保護・供養されることを望むケースが多く見られます。 しかし、現行法ではペットに対する取り扱いは制度的に十分とは言えず、契約による明確な意思表示がなければ、最悪の場合「処分」されるリスクもあります。
死後事務委任契約は、こうしたギャップを埋めるための実務的な手段です。ペットの存在を念頭においた契約内容を準備しておくことは、 飼い主としての責任を全うする重要な備えといえるでしょう。