家族信託との役割の違い
身元保証を検討する際に、近年注目されている制度のひとつに家族信託があります。いずれも将来への備えとして活用されますが、目的や機能は大きく異なるため、混同せずにそれぞれの役割を理解することが大切です。
家族信託とは
家族信託は、信頼できる家族などに対して、財産の管理・運用・処分を任せる契約です。たとえば、高齢になって自分で財産を管理するのが不安になったとき、あらかじめ子や親族に管理を任せることができます。信託契約によって財産を託された受託者は、契約に定められた目的に沿って、財産の管理・活用を行います。
家族信託は、判断能力の低下や将来の相続を見据えた財産管理の仕組みであり、法律上の後見制度よりも柔軟な対応が可能な点が特徴です。
身元保証との違い
一方で、身元保証は医療機関や介護施設との契約を円滑に進めるために必要な“身元保証人”の役割を担うものです。保証人がいないと入院・入所できないケースがあるため、第三者と契約して保証人になってもらう必要があります。
家族信託では、医療同意や施設への入所契約を代行する法的権限は含まれないため、信託を設定していても、施設からは別途「身元保証人」を求められることが一般的です。
役割の比較
| 項目 | 家族信託 | 身元保証 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 財産の管理・活用・承継 | 医療・介護等における身元保証 |
| 契約相手 | 信頼できる家族等(受託者) | 保証事業者や第三者 |
| カバー範囲 | 財産の管理と給付 | 緊急連絡、医療同意、死後事務など |
| 法的根拠 | 信託法に基づく契約 | 民間契約(施設との取り決めに基づく) |
| 医療・施設対応 | 直接的には対応できない | 入所・入院時に必要な保証機能を担う |
併用の考え方
家族信託と身元保証は、目的が異なるため両方を併用することで、生活面と財産面の両方に備えることができます。たとえば、財産の管理は信託で対応しつつ、病院や施設との契約や緊急時の対応は身元保証でカバーするという形です。
それぞれの制度の特徴を理解したうえで、自分にとって必要な支援をどう整えていくかを考えることが重要です。