遺言と成年後見制度の連携 | 遺言に関わる手続きと他制度との連携 | 遺言の手引き

遺言と成年後見制度の連携

相続対策を考える際、遺言による死後の意思の実現と、成年後見制度による生前の意思決定支援は、ともに重要な役割を果たします。
それぞれ別の制度ですが、適切に連携させることで、財産の管理から承継まで一貫した備えが可能となります。
ここでは、遺言と成年後見制度の役割の違いと連携のポイントを解説します。

1. 遺言と成年後見制度の基本的な違い

項目 遺言 成年後見制度
効果が発生する時期 本人の死亡後 本人が認知症等になり、判断能力が低下したとき
主な目的 財産の承継先を指定し、死後の意思を実現する 財産管理や契約手続など、本人の意思決定を補う
制度の性質 単独行為(本人の意思で作成) 家庭裁判所の関与がある法的保護制度

2. 成年後見人は「遺言を書くこと」はできない

成年後見人は、本人の財産を守るための法定代理人ですが、遺言を作成・代筆することはできません
遺言は本人の最終意思を示すものなので、作成時に遺言能力(判断能力)があることが必須です。
認知症が進行してからでは遺言を残せない可能性があるため、早めの作成が重要です。

3. 遺言と成年後見の連携が必要となる場面

  • 認知症の兆候がある高齢者が遺言を検討しているが、能力が不安な場合
  • 法定後見開始前に遺言を作成しておきたいと考えている場合
  • 家族が後見人として、死後の相続トラブルを防ぐ目的で遺言を勧めたい場合

このようなケースでは、遺言を有効に作成できるうちに作成し、その後の生活や財産管理は後見制度で支えるという、役割分担が重要になります。

4. 任意後見制度と遺言の併用

任意後見制度は、本人が元気なうちに、将来判断能力が衰えたときの後見人を自ら選んでおく制度です。
遺言と併せて任意後見契約を結んでおけば、生前の管理体制と死後の承継対策を自らの意思で準備することができます。

併用の具体例:

  • 任意後見契約で、財産管理・医療同意を子に委ねる
  • 遺言で、すべての財産を配偶者に相続させる旨を明記

このようにすることで、認知症による意思能力の喪失にも備えつつ、相続時の希望も確実に伝えることができます。

5. 遺言能力と作成のタイミング

遺言は15歳以上で、遺言内容を理解・判断できる能力が必要です(民法963条)。
認知症の診断があっても、その程度や状態によっては有効な遺言を作成できる場合もあります
ただし、認知症の進行により判断能力が失われると、遺言は無効と判断されるリスクがあるため、医師の診断書や作成時の映像記録などを残す工夫も大切です。

まとめ

遺言と成年後見制度は、目的や発動のタイミングは異なるものの、相続と老後の安心を支える両輪です。
遺言は死後の意思表示、成年後見は生前の支援制度として、それぞれ役割があります。
元気なうちに遺言と任意後見契約の両方を準備しておけば、認知症・相続の双方に備える万全な体制が整います。

【注意事項】
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