特定遺贈・包括遺贈の記載例
遺言によって財産を遺贈する場合、「特定遺贈」と「包括遺贈」という2つの方法があります。
いずれも相続人以外の人に財産を与えたいときによく用いられる手法ですが、相続人に対して使う場合もあります(ただし「相続させる」表現の方が実務上は望ましい)。
ここではそれぞれの違いと、実際に遺言書へ記載する際の文例をご紹介します。
1. 特定遺贈とは
特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺贈する方法です。
例:土地、建物、預金、株式、車、宝石など。
記載例:
- 私の有する○○銀行○○支店の普通預金(口座番号1234567)を、友人 佐藤健一(昭和50年1月1日生)に遺贈する。
- 東京都新宿区○○町○番○の土地(地番○番)および同所建物を、内縁の妻 山田花子(昭和40年5月5日生)に遺贈する。
- 私の所有するトヨタプリウス(登録番号○○○○)を、孫 山田次郎(平成15年3月10日生)に遺贈する。
特定遺贈のポイント
- 対象の財産は明確に特定すること(場所・番号・口座など)
- 受遺者が遺贈を放棄することも可能(承諾が必要)
- 原則として債務は引き継がれない(負担付遺贈を除く)
2. 包括遺贈とは
包括遺贈とは、対象を特定せず、遺産全体またはその一定割合を包括的に遺贈する方法です。
特定の財産を指定しないため、相続人に近い立場で遺産全体を引き継ぐ形となります。
記載例:
- 私の有する一切の財産を、公益財団法人○○に包括して遺贈する。
- 私の全財産の3分の1を、甥 山田一郎(昭和60年4月20日生)に包括遺贈する。
包括遺贈のポイント
- 受遺者は、相続人と同様に債務も引き継ぐ可能性がある(包括承継)
- 遺言執行者が包括遺贈の処理を担うことが多いため、あわせて指定するのが望ましい
- 受遺者は、相続放棄と同様に放棄できる(家庭裁判所への申述)
3. 特定遺贈と包括遺贈の違い
| 区分 | 特定遺贈 | 包括遺贈 |
|---|---|---|
| 対象 | 特定の財産 | 遺産の全体または割合 |
| 債務の承継 | 原則なし | あり(相続人に近い扱い) |
| 表現例 | 「○○を遺贈する」 | 「全財産の○分の○を包括遺贈する」 |
| 実務上の注意 | 財産の特定を明確に | 遺言執行者の指定が望ましい |
まとめ
特定遺贈は特定の財産を明示的に贈る方式、包括遺贈は遺産全体や割合を包括的に贈る方式です。
受遺者の状況や遺言の目的に応じて、方式を選び、明確な表現で記載することが大切です。
また、包括遺贈では遺言執行者の指定や債務の扱いにも注意を払う必要があります。