書き方の例文と文案テンプレート
遺言書を作成する際は、法的に有効な形式を守りながら、内容が明確で誤解のない文章にすることが重要です。
ここでは、自筆証書遺言や公正証書遺言で用いることができる基本的な書き方の例文を紹介します。
不動産などについては特定できるよう、できるだけ細かく情報を記載する必要があります。
1. 自筆証書遺言の基本例文
不動産は、登記簿に基づく正確な表示を用いる必要があります。
遺言書
私は、次のとおり遺言する。
1.私の所有する東京都新宿区○○町○番○の土地・建物は、長男 山田太郎(昭和50年1月1日生)に相続させる。
土地:宅地(160平方メートル)
建物:木造瓦葺2階建て居宅(1階120平方メートル、2階100平方メートル)
2.○○銀行○○支店の普通預金(口座番号:1234567)から、金300万円を、孫 山田次郎(平成15年3月10日生)に特定遺贈する。
3.私の一切の財産のうち、上記に記載のない残余財産は、妻 山田花子(昭和25年5月5日生)に相続させる。
4.本遺言の執行者として、東京都千代田区○○○○の行政書士 佐藤正樹(昭和40年4月1日生)を指定する。
【附言事項】
この遺言は、家族の将来と感謝の気持ちを込めて作成したものです。皆が争うことなく、互いを思いやって生きてくれることを心より願っています。
特に長男には、私たち夫婦の面倒をよく見てくれたことを感謝し、その分を考慮して不動産を相続させることにしました。
他の相続人の皆さんにはご理解いただき、遺留分の請求などなさらぬよう、切にお願いします。
令和〇年〇月〇日
東京都杉並区○○○丁目○番○号
山田 一郎(自署)
(印)
2. 文案テンプレート(カスタマイズ用)
遺言書 私は、次のとおり遺言する。 1.私の有する【不動産/預貯金/株式 など】を、【氏名(続柄・生年月日)】に相続させる。 2.私の有する【財産名】を、【受遺者氏名(続柄・生年月日)】に遺贈する。 3.本遺言の執行者として、【氏名・住所・生年月日】を指定する。 【附言事項(任意)】 ・相続にあたっての希望や家族への感謝の言葉 ・相続分が偏る理由の説明 ・遺留分を行使しないようお願いする表現 など 令和〇年〇月〇日 住所:〇〇〇〇 氏名:(自署) (印)
3. 公正証書遺言を作成する場合の参考文案
公正証書遺言では、最終的に公証人が法的表現に整えて作成しますが、事前に提出するメモや草案として以下のような形で準備しておくとスムーズです。
【公正証書遺言 草案メモ】 ・不動産:新宿区○○町○番の土地・建物 → 長男へ相続 ・預貯金:○○銀行の普通預金(口座番号○○)→ 妻へ相続 ・特定遺贈:次男の子(孫)に教育資金として100万円 ・遺言執行者:○○行政書士 ・附言事項:家族への感謝、相続について争わないようにとの希望 など
まとめ
遺言書は法律的な形式を守ることが前提ですが、内容の明確さや配慮ある表現がその効果を左右します。
テンプレートを参考にしながら、ご自身の思いと状況に合わせて丁寧に書き上げることが、安心できる遺言作成への第一歩です。