証人の確保が難しい場合の対処
公正証書遺言や秘密証書遺言を作成するには、証人が2人以上必要です。しかし、家族構成や交友関係の状況によっては、証人になれる人が見つからない、頼みにくいといった事情に直面することがあります。このような場合の対応策について解説します。
証人の法的要件(民法974条)
以下の者は、証人になることができません:
- 未成年者
- 推定相続人・受遺者およびその配偶者、直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記・雇人
家族や財産をもらう予定の人は原則として証人になれません。そのため、近しい人には頼めず、誰に依頼してよいか悩むケースもあります。
対処法1:公証役場に証人の手配を依頼する
もっとも一般的な対処法は、公証役場に証人の紹介・手配を依頼することです。多くの公証役場では、信頼できる第三者(専門職など)を有料で紹介しています。
費用の相場は1人あたり5,000円〜10,000円程度で、公証役場により異なります。
この方法であれば、中立性や秘密保持の面でも安心ですし、遺言者本人が無理に人間関係に配慮して証人を探す必要もありません。
公証人に相談してみましょう。
対処法2:専門家に証人を依頼する
行政書士・司法書士・弁護士などの相続実務に携わる専門家も、証人として立ち会うサービスを提供している場合があります。報酬は事務所によって異なりますが、信頼性・守秘義務の点で優れており、安心して依頼できます。
対処法3:信頼できる知人に依頼する
第三者であれば、友人や知人でも証人になることが可能です。ただし、証人には遺言の内容を知られることになるため、秘密にしたい場合には不向きです。また、遺言の有効性に影響が出ないよう、証人の適格性にも注意が必要です。
証人がいらない遺言方式
証人の確保が難しい状況では、自筆証書遺言+法務局保管制度を検討するのも一つの方法です。この方式であれば、証人が不要であり、かつ検認手続きも不要となるため、比較的手軽に安全な遺言を残すことができます。
まとめ
証人が見つからないことは、公正証書遺言の作成において意外と多い悩みの一つです。しかし、公証役場や専門家の力を借りることで、十分に対処可能です。無理に自分で探そうとせず、中立性・秘密保持・確実性を重視して、適切な証人を手配しましょう。