保証金・支払能力・遺体引取の要請
医療機関や介護施設では、身元保証人に対して「保証金の支払い」「本人に支払能力がない場合の対応」「死亡時の遺体引取」など、具体的かつ現実的な対応を求めることがあります。これは、本人の体調や判断能力に不安があるケースが多いため、あらかじめ支援体制を確保しておきたいという施設側の意図によるものです。
保証金の支払いを求められるケース
一部の医療機関や有料老人ホームでは、入院・入所時に「保証金」の支払いを求められることがあります。これは、万が一医療費や利用料の支払いが滞った場合のための担保として扱われることが多く、数万円から数十万円規模の金額が設定されることもあります。
保証金は、退院・退所時に清算され返還されることが一般的ですが、その取り扱いは施設ごとに異なります。保証人が保証金の支払いを求められるケースもあり、事前の説明と合意が必要です。
支払能力に関する確認
高齢や障害により就労収入がない、または年金が少額といった事情がある場合、本人の支払能力について確認されることがあります。その結果、「保証人にも経済的支援が可能か」といった踏み込んだ質問がなされる場合があります。
書類に「支払いが滞った場合は保証人が責任を負う」と明記されていることもあるため、形式的な署名であっても、金銭的負担が発生する可能性を念頭に置いておく必要があります。
死亡時の遺体引取・葬儀の要請
医療機関で患者が亡くなった場合、遺体の引取り、死亡届の提出、葬儀や火葬の手配などの対応が必要になります。これらは本来、家族が行うものとされていますが、身寄りのない高齢者の場合、保証人に対してこうした手続きを依頼することが少なくありません。
一部の病院では、遺体を一定期間保管することができますが、期限を過ぎると対応を急ぐよう求められ、最終的に保証人が葬儀費用を負担することになった例もあります。
これらの要請は、「身元保証人」の役割が単なる連絡先や形式的な保証にとどまらず、実際の生活支援や死後の事務まで含むものであることを示しています。保証人となる側にとっては、精神的・経済的な負担の可能性を理解した上で、慎重に引き受ける判断が求められます。