エンディングノートや財産目録の整備
もしものときに備え、エンディングノートや財産目録を整備しておくことは、遺された家族への大きな助けになります。これらは法的な効力は必ずしも持たないものの、相続人にとって重要な手がかりとなり、手続きや遺産分割を円滑に進めるための土台となります。
エンディングノートの役割
エンディングノートとは、自分の人生の記録や希望、財産、連絡先、葬儀に関する意向などを自由に書き記しておくノートです。法律上の効力はありませんが、ご自身の思いを残し、家族が判断に迷わないようにするための重要なツールです。
遺言書とエンディングノートは全く別のものです。特に葬儀については遺言書に書いても、開封が間に合いません(開封する頃には葬儀は終わっています)ので、エンディングノートに記載するか、よく家族に伝えておくことをおすすめします。
主な記載内容の例:
- 家族・親族へのメッセージ
- 葬儀・お墓についての希望
- 連絡してほしい人の一覧
- 加入している保険・年金の情報
- インターネット・デジタル関連の情報(パスワードなど)
- 財産や契約の概要
書店などで市販されているもののほか、自作することも可能です。書式に決まりはないため、ご自身に合った形で気軽に始められます。
財産目録の作成と活用
財産目録とは、自分が所有する財産を一覧にして明記した書類です。これは相続の場面において特に重要で、相続人にとって「何がどこにあるか」を把握する手がかりとなります。
財産目録には以下のような情報を記載します:
| 資産の種類 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 預貯金 | 銀行名・支店名・口座番号 |
| 不動産 | 所在地・登記簿情報 |
| 有価証券 | 証券会社・銘柄・口座番号 |
| 仮想通貨 | 取引所名・ウォレット情報・アクセス方法 |
| 車・貴金属・その他 | 保管場所・登録情報・価値の目安 |
財産目録は公正証書遺言の添付書類としても活用可能です。その場合、財産の正確性と明確性が求められるため、作成にあたっては行政書士などの専門家に相談すると安心です。
保管と共有の方法
これらの書類は、次のような方法で安全に保管・共有するとよいでしょう:
- 信頼できる家族に所在を知らせておく
- 耐火金庫や貸金庫に保管する
- 公正証書遺言に添付し、公証役場に保管してもらう
「存在を知らせること」と「勝手に開封されないこと」のバランスが重要です。特に財産情報については、無断で改ざん・廃棄されないよう配慮しましょう。
まとめ
エンディングノートや財産目録の整備は、法的義務ではありませんが、「思いやりのある終活」として非常に意義があります。ご自身の意思と財産の所在をきちんと伝えることで、家族の混乱や争いを防ぎ、安心して未来を託すことができます。