遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合った相続財産の分け方を文書にしたものです。法定相続分に関係なく、誰がどの財産を取得するのかを明記し、相続人全員が署名・押印することで効力を持ちます。これは、預貯金の払い戻しや不動産の相続登記など、多くの手続きで提出を求められる重要書類です。
1. 作成に必要な前提条件
- 相続人全員が確定していること(戸籍による確認)
- 対象となる相続財産の内容が明らかになっていること
- 分割内容について相続人全員の合意があること
2. 協議書に記載すべき主な内容
- 被相続人の氏名・本籍・死亡日
- 相続人全員の氏名・住所・続柄
- 各相続人が取得する財産の具体的内容
- 相続人全員の署名・実印による押印
- 作成年月日
3. 書式の基本例(シンプルな形式)
不動産については登記事項証明書に記載されている内容を記載します
遺産分割協議書 被相続人 山田太郎(令和5年5月1日死亡、最後の住所 東京都〇〇区〇〇、戸籍上の本籍 東京都〇〇市〇〇) 上記被相続人の相続について、相続人全員で協議した結果、以下のとおり遺産分割することに合意した。 1.長男 山田一郎は、以下の財産を相続する。 ・東京都〇〇区〇〇丁目〇番〇 地目:宅地 地積:130平方メートル ・東京都〇〇区〇〇丁目〇番〇 種類:居宅 構造:木造ストレート葺2階建 床面積:1階 110平方メートル 2階 80平方メートル ・〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇 2.長女 山田花子は、以下の財産を相続する。 ・〇〇証券株式会社 証券口座 口座番号〇.〇〇〇〇〇〇 ・〇〇銀行 定期預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇 本協議の結果、上記以外に相続すべき財産が判明した場合には、改めて協議のうえ分割を定める。 令和○年○月○日 【相続人署名欄】 住所:東京都〇〇区〇〇 氏名:山田一郎(実印) 印鑑登録証明書添付 住所:神奈川県〇〇市〇〇 氏名:山田花子(実印) 印鑑登録証明書添付
4. 作成上の注意点
- 相続人が一人でも欠けていると無効になります。
- 必ず原本に実印で押印し、印鑑登録証明書を添付します。
- 金融機関や法務局に提出する場合は原本またはコピーを提出(提出先の指示に従う)
- 複数ページになる場合は契印を忘れずに。
- 未成年の相続人がいる場合は、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要です。
5. 実務アドバイス
遺産分割協議書は、将来のトラブルを避けるためにも、財産の内容と取得者を明確かつ具体的に記載することが重要です。書式に不備があると金融機関や法務局で受理されないこともあるため、正確な書類作成が求められます。不動産が含まれる場合や相続人が多い場合は、行政書士や司法書士など専門家による作成支援も有効です。