自動車の相続と運輸支局での手続き | 財産別 相続手続きの実務 | 相続の手引き

自動車の相続と運輸支局での手続き

被相続人が所有していた自動車を相続する場合、名義変更(相続による移転登録)を行う必要があります。自動車は法律上「動産」であり、相続財産として扱われます。相続人が引き続き使用する場合でも、名義を変更しなければ法的に所有権を取得したことにはなりません。

名義変更、売却、廃車のいずれかの手続きとなります。

1. 名義変更(相続による移転登録)とは

自動車の名義は運輸支局に登録されており、相続が発生した場合には、相続を原因とする名義変更手続きが必要です。これは「移転登録」と呼ばれ、管轄の運輸支局で申請を行います。

2. 手続きの主な流れ

  1. 被相続人の死亡確認(戸籍・除票の準備)
  2. 相続人の確定と遺産分割(協議または遺言)
  3. 必要書類を揃える
  4. 運輸支局で名義変更の申請
  5. 新しい車検証が交付される

3. 必要書類(普通自動車の場合)

書類名 備考
車検証(自動車検査証) 対象となる車両の登録情報
被相続人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの) 相続開始を証明
相続人全員の戸籍謄本 相続人の身元と住所の確認
遺産分割協議書 または 遺言書 誰が自動車を相続するかを明示
相続人全員の印鑑登録証明書 遺産分割協議書への押印の裏付け
申請書(第1号様式) 運輸支局で入手またはダウンロード可
手数料納付書(登録印紙を貼付) 登録手数料は500円程度
自動車税・環境性能割申告書 都道府県税事務所に同時提出

4. 軽自動車の場合の違い

軽自動車については、管轄が軽自動車検査協会となり、必要書類や申請様式が一部異なります。事前に確認しましょう。

5. 自動車保険や車庫証明の変更も必要

名義変更後は、自動車保険(任意・自賠責)の契約者名義も変更する必要があります。また、住所変更を伴う場合は車庫証明の再取得も求められることがあります。

6. 実務アドバイス

自動車の相続は、不動産や預貯金に比べて軽視されがちですが、名義変更を怠ると売却・譲渡ができないだけでなく、税や事故時の責任問題が発生するおそれもあります。特に相続人が複数いる場合には、遺産分割協議書の正確な作成が不可欠です。面倒に感じられる場合は、行政書士や自動車手続き代行業者のサポートを活用することをおすすめします。

【注意事項】
本記事は、法律に関する一般的な情報を提供するものであり、個別具体的な案件についての助言を行うものではありません。特定の事案や状況に応じた判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

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法令や規制は頻繁に変更される可能性がありますので、必要に応じて最新の情報をご確認いただくことをお勧めいたします。
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