遺言書との違い
エンディングノートを考えるうえで、よく混同されるのが「遺言書」との違いです。
どちらも自分の意思を残すためのツールですが、目的・内容・法的効力などがまったく異なります。
ここでは、エンディングノートと遺言書の違いを正しく理解し、どちらをどのように活用すればよいのかを考えてみましょう。
エンディングノートと遺言書の主な違い
| 項目 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 目的 | 家族へのメッセージや情報整理、希望の共有 | 法的に有効な形で、財産分配などの意思を示す |
| 形式 | 自由形式(市販ノート・自作・デジタルなど) | 民法で定められた形式が必要(自筆・公正証書など) |
| 法的効力 | なし(家族の参考資料として扱われる) | あり(内容に従って相続手続きが行われる) |
| 内容の自由度 | 自由に書ける(感情・希望・雑記など) | 財産の配分、相続人の指定、遺言執行者の指定など |
| 修正・書き直し | 自由に何度でも可能 | 形式に従った修正が必要 |
それぞれの役割を理解して使い分ける
エンディングノートは「気持ちを伝えるノート」、遺言書は「法的に効力のある文書」です。
エンディングノートは、相続に関する希望を書いても法的効力はありませんが、遺族がその意思を尊重する参考資料として活用されることがあります。
一方で、財産の分け方に関する明確な意思がある場合は、必ず遺言書の作成を検討する必要があります。
特に相続人以外に財産を渡したいときや、特定の人に多く分配したいといったケースでは、エンディングノートだけでは法的に不十分です。
併用することで、より安心な準備に
エンディングノートと遺言書は、どちらか一方だけではなく、両方をうまく活用することが理想的です。
- エンディングノートで家族への想いを伝える
- 遺言書で法的な手続きに必要な内容を明確にする
このように使い分けることで、感情と法務の両面から自分の意思をしっかりと残すことができます。
まとめ:気持ちと制度、両方を備えることが大切
エンディングノートは、気軽に始められる「心の整理ノート」として非常に有効ですが、財産の分配や相続に関する意思は、遺言書でなければ実現できません。
両者の違いを理解し、状況に応じて正しく準備を進めることで、自分自身にも、家族にも安心を残すことができるのです。