日本国憲法第73条 内閣の職務 | 条文とその解説

日本国憲法第73条は、内閣の職務内容を規定しており、行政全般の業務のほかに特に重要な事務を列挙しています。この条文は、内閣が行政権を適切に行使し、国家運営の中心的役割を果たすための指針を提供しています。本記事では、第73条の条文を基に、その意義や具体的な内容について解説します。

日本国憲法第73条

第73条
内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

※「内閣」であって、「内閣総理大臣」ではありません。

内閣の職務内容

第73条は、内閣が行うべき職務として以下の7つの具体的な事項を規定しています。

  1. 法律の執行と国務の総理: 内閣は、国会で成立した法律を誠実に執行し、国の行政全般を統括します。
  2. 外交関係の処理: 内閣は、他国との外交交渉や外交政策の実施を行います。
  3. 条約の締結: 内閣が条約を締結する際には、国会の承認を必要とします。
  4. 官吏に関する事務: 公務員に関する事務を法律に基づいて行います。
  5. 予算の作成と提出: 国家予算を作成し、国会に提出して審議を受けます。
  6. 政令の制定: 憲法や法律を実施するための政令を制定しますが、罰則の設置には特別な委任が必要です。
  7. 恩赦の決定: 大赦、特赦、減刑などを決定する権限を有します。

第73条の意義

日本国憲法第73条は、内閣が行政権を行使する際の具体的な職務内容を示すことで、内閣の責任と役割を明確にしています。この規定により、内閣が国家運営を適切に行い、国民の信頼に応えるための仕組みが確立されています。

内閣と内閣総理大臣の権能のまとめ

内閣の職権 内閣総理大臣の権限
天皇の国事行為に対する助言と承認(3,7)
最高裁判所長官の氏名(6)
臨時会の招集決定(53)
緊急集会の請求(54)
一般の行政事務
法律の誠実な執行と国務の総理
外交関係の処理
条約の締結
官吏に関する事務の掌握
予算の作成と国会への提出
政令の制定
恩赦の決定(以上73)
最高裁判所長官以外の裁判官の任命(79)
予備費の支出(87)
決算の提出及び財政状況の報告(90,91)
国務大臣の任免権(68)
内閣を代表して議案を国会に提出、一般国務及び外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監督する権限(72)
法令への連署(74)
国務大臣の訴追に対する同意(75)

日本国憲法第73条についての質問

Q: 内閣は条約を国会の承認なしに締結することができますか?
A: いいえ、条約の締結には、事前または事後に国会の承認を経ることが必要です。
Q: 内閣が制定する政令には罰則を設けることができますか?
A: 原則として設けることはできませんが、特に法律で委任されている場合には可能です。
Q: 恩赦の決定権は誰にありますか?
A: 恩赦の決定権は内閣にあります。
Q: 内閣が予算を提出する際、どのようなプロセスが必要ですか?
A: 内閣が作成した予算は国会に提出され、国会の審議と承認を経て成立します。
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