日本国憲法第17条は、公務員の不法行為により損害を受けた場合に、国または公共団体に対して賠償を請求する権利を保障しています。本記事では、第17条の条文を基に、国家賠償請求権の意義とその具体的な仕組みについて解説します。
日本国憲法第17条
第17条
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第17条は、公務員が職務の執行において不法行為を行い、国民が損害を受けた場合、国や地方公共団体に賠償を請求できることを定めています。この規定は、国家権力による損害から国民を保護するための重要な権利です。
国家賠償請求権の意義
第17条が保障する国家賠償請求権には以下の意義があります。
- 国民の救済: 公務員の不法行為による被害を受けた国民が、公正な補償を受ける権利を保障します。
- 責任原則の明確化: 公務員が職務を執行する際の不法行為について、個人ではなく国や公共団体が最終的な責任を負います。
国家賠償法との関係
第17条に基づき、具体的な手続きや賠償要件を定めるために「国家賠償法」が制定されています。この法律は、国家賠償請求権の行使に必要な規定を明文化しています。
- 公務員の責任: 公務員が「職務を行うにつき」不法行為を行った場合に賠償の対象となります。
- 賠償責任の主体: 賠償は国または地方公共団体が負い、個々の公務員が直接責任を負うわけではありません。
- 補償の対象: 財産的損害や精神的損害が賠償の対象となります。
国家賠償請求の要件
国家賠償を請求するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 公務員の職務行為: 損害が公務員の職務の執行中に行われた不法行為によるものであること。
- 不法行為の存在: 故意または過失による法令違反や権利侵害があること。
- 損害の発生: 財産的損害、身体的損害、精神的損害などの被害が具体的に発生していること。
- 因果関係: 公務員の不法行為と損害との間に因果関係があること。
条文の意義
第17条は、国や地方公共団体の責任を明確化し、国家権力の行使による被害から国民を保護する仕組みを構築しています。この規定により、国民の権利が侵害された場合でも、適切な補償を受けることが可能となっています。
日本国憲法第17条についての質問
以下は、日本国憲法第17条に関してよくある質問とその回答です。
- Q: 国家賠償法ではどのような場合に賠償が認められますか?
- A: 国家賠償法では、公務員が職務中に故意または過失で不法行為を行い、国民に損害を与えた場合に賠償が認められます。
- Q: 賠償請求はどのように行いますか?
- A: 被害者は、国または地方公共団体を相手として裁判所に国家賠償請求訴訟を提起することができます。
- Q: 公務員個人に賠償を求めることはできますか?
- A: 原則として、賠償責任は国または地方公共団体が負い、公務員個人に賠償を求めることはできません。ただし、公務員に重大な過失がある場合、国が当該公務員に対して求償する可能性があります。
- Q: 国家賠償請求は外国人にも認められますか?
- A: はい。国家賠償請求権は、在住外国人にも認められており、平等に保護されます。