日本国憲法第12条は、基本的人権が国民に保障されるだけでなく、その権利の行使には責任と義務が伴うことを明示しています。本記事では、第12条の条文を基に、基本的人権の意義とその制約について解説します。
日本国憲法第12条
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第12条は、基本的人権の保持と行使における国民の責任を規定しています。この条文は、権利を享受するだけでなく、濫用を防ぎ、社会全体の福祉に資するように行使すべきことを求めています。
基本的人権の保持
第12条の前半では、基本的人権が国民自身の「不断の努力」によって保持されるべきであるとされています。これは、自由や権利が一度与えられるだけで永続するものではなく、社会の変化や権力の暴走から守るために、国民自身が努力する必要があることを意味します。
権利の濫用の禁止
第12条は、自由や権利を濫用してはならないと規定しています。この「濫用」とは、権利を他者の権利や社会の利益を損なう形で使用することを指します。たとえば、言論の自由があるからといって他者を中傷する行為や、財産権を利用して公共の利益を阻害する行為は許されません。
公共の福祉との関係
第12条の後半では、基本的人権の行使にあたり「公共の福祉」のために利用する責任があるとされています。公共の福祉とは、社会全体の幸福や利益を意味し、個人の権利と他者の権利、社会全体の利益との調整を図るための原則です。
条文の意義
第12条は、基本的人権の尊重を強調すると同時に、その行使に際して責任と義務が伴うことを明確にしています。この条文は、個人の権利と社会の調和を図り、民主主義の健全な運営を支える重要な役割を果たしています。
日本国憲法第12条についての質問
以下は、日本国憲法第12条に関してよくある質問とその回答です。
- Q: 公共の福祉とは何を意味しますか?
- A: 公共の福祉とは、社会全体の幸福や利益を指します。個人の権利が他者の権利や社会全体の利益と衝突する場合、調整を図るための原則として機能します。
- Q: 基本的人権を保持する「不断の努力」とは具体的に何を指しますか?
- A: これは、民主主義を維持し、権利侵害を防ぐために、国民が選挙に参加したり、法の支配を支持したりする積極的な行動を指します。
- Q: 権利の濫用が認められないのはなぜですか?
- A: 権利の濫用は、他者の権利や社会の秩序を損なう可能性があるためです。憲法は権利を享受するだけでなく、責任を伴う行使を求めています。
- Q: 公共の福祉のために権利が制限されることは正当ですか?
- A: 公共の福祉は、個人の権利と社会全体の利益の調和を図るための基準であり、必要最小限の制約が認められています。