民法第790条は、子がどの氏(名字)を称するかについて定めた条文です。この規定では、嫡出子(法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子)と、嫡出でない子(婚姻関係にない父母から生まれた子)で扱いが異なります。以下に条文の内容とその意義について詳しく解説します。
民法第790条 子の氏
第790条
第1項 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
第2項 嫡出でない子は、母の氏を称する。
第1項 嫡出子の氏
嫡出子は、原則として父母の氏を称することが定められています。ただし、父母が子の出生前に離婚している場合には、次のような取り扱いとなります:
- 離婚時の氏を称する:父母が離婚時にどちらの氏を使用していたかに基づいて、子の氏が決まります。
- 例:父母が離婚時に母が旧姓に戻らず、父の氏を称していた場合、子は父の氏を称します。
第2項 嫡出でない子の氏
嫡出でない子については、母の氏を称することが原則として定められています。この規定は、母が通常、子の法的な監護者として扱われることを前提としています。嫡出子とは両親が婚姻関係あるなかで生まれた子、つまり、父が確定している子です。対して、非嫡出子とは両親が婚姻関係にない子を指します。
なお、父が認知を行った場合でも、嫡出でない子が父の氏を称するには手続きが必要となることがあります。具体的には、家庭裁判所への申し立てや戸籍上の変更手続きが必要です。
条文の意義
民法第790条は、子の氏に関する法的な取り決めを明確にすることで、子の法的地位を安定させる重要な規定です。この規定により、出生時から子の氏が確定し、戸籍上の手続きが円滑に行われる仕組みが整えられています。
注意点
- 氏の変更:後に子の氏を変更する場合には、家庭裁判所の許可が必要な場合があります。
- 母が再婚した場合:母が再婚した場合でも、子の氏は自動的には変更されません。変更するためには手続きが必要です。
- 父が認知した場合:嫡出でない子が父の氏を称するには、認知後の手続きが求められることがあります。
民法第790条に関するFAQ
- Q: 嫡出でない子が父の氏を称することはできますか?
- A: 可能ですが、父が認知を行い、さらに家庭裁判所で氏の変更に関する手続きを行う必要があります。
- Q: 母が再婚した場合、子の氏は自動的に変わりますか?
- A: 自動的には変わりません。母の再婚相手の氏に変更する場合は、家庭裁判所にて手続きを行う必要があります。