民法778条の2 嫡出否認の特別な規定をわかりやすく解説

民法第778条の2は、嫡出否認の訴えについて特別な規定を設けています。この条文は、親権者が不在である場合や父との同居期間が短い場合など、通常の出訴期間や条件では救済が困難なケースに対応するために制定されました。以下に条文の内容を詳しく解説し、関連する条文との関係や注意点について説明します。

民法778条の2 嫡出否認の特別な規定

第778条の2
第1項 第777条(第2号に係る部分に限る。)又は前条(第2号に係る部分に限る。)の期間の満了前6箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができる。
第2項 子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が2以上あるときは、そのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、第777条(第2号に係る部分に限る。)及び前条(第2号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。
第3項 第774条第2項の規定は、前項の場合には、適用しない。
第4項 第777条(第4号に係る部分に限る。)及び前条(第4号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。

引用条文

民法第778条の2では、以下の条文が参照されています。それぞれの内容を簡潔に説明します。

  • 第774条:嫡出否認の基本規定です。父、母、または子が嫡出性を否認できる権利について定めています。未成年の子の場合、親権者や未成年後見人が代行します。
  • 第777条:嫡出否認の訴えを提起できる期間を規定。父や子が「出生を知った時」から3年以内が原則です。
  • 第778条:特定の状況で出訴期間を調整する規定。通常より短い期間が設定される場合があります。

条文の意義

民法第778条の2は、通常の出訴期間では救済が困難な子供や関係者を保護するために制定されました。この規定により、親権者が不在の場合でも、子が否認権を行使できるよう柔軟な仕組みを提供し、また同居期間の短い子供に対しても特別な配慮がなされています。

親権者が不在の場合の特例(第1項)

親権者や未成年後見人が不在である場合でも、次の条件が発生した場合には、出訴期間を延長することが可能です。

  • 親権停止の解除が行われた場合
  • 養子縁組が成立した場合
  • 未成年後見人が選任された場合

これにより、子が権利を行使する機会を失わないよう保護されています。

父との同居期間が短い場合の特例(第2項)

通常、嫡出否認の訴えは3年以内に行う必要がありますが、子が父と3年以上同居していない場合には、21歳まで訴えを提起することが認められます。ただし、以下の場合は適用されません。

  • 子の訴えが父の利益を著しく害すると判断された場合
  • 父が十分に養育を行っていた場合

親権者の代行否認が適用されない場合(第3項)

通常、親権者や未成年後見人が代行して否認権を行使することができますが、この特例においては適用されず、子自身が否認権を行使する必要があります。

成年後の訴えの制限(第4項)

子が成年に達すると、嫡出否認の訴えを提起することはできません。これは、親子関係の法的安定を重視するためです。

注意点

  • 出訴期間の制限:規定された期間を過ぎると否認権は失効します。
  • 父の利益の保護:父が十分に養育していた場合、否認権行使が制限されることがあります。
  • 成年後の制限:子が成年に達した場合、訴えを提起することはできません。

民法778条の2に関するFAQ

Q: 親権者がいない場合、どのように救済されますか?
A: 親権が回復する、養子縁組が成立するなどの条件が発生した後、6か月以内であれば訴えを提起できます。
Q: 子が父と同居していない場合、特例の適用条件は?
A: 同居期間が3年未満であり、21歳までに訴えを提起すれば特例が適用されます。ただし、父の利益を著しく害する場合は認められません。
Q: 成年後に嫡出否認の訴えを提起できますか?
A: 第4項により、子が成年に達した後は提起できません。
Q: 父の養育状況はどのように判断されますか?
A: 父が子に対して適切な養育を行っていた場合、訴えが父の利益を不当に害するものと判断される可能性があります。
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