民法第751条は、夫婦の一方が死亡した場合に、生存配偶者が婚姻前の氏に復することができる権利を規定しています。また、第769条の規定を準用し、具体的な手続きや効力についても整備されています。以下に詳しく解説します。
民法751条 生存配偶者の復氏等
第751条
第1項 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
第2項 第769条の規定は、前項及び第728条第2項の場合について準用する。
婚姻前の氏に復する権利
配偶者が死亡した場合、生存配偶者には婚姻前の氏に戻るか、現在の氏をそのまま使用するかを選択する権利があります。これにより、生存配偶者の意思が尊重され、柔軟な対応が可能となります。
復氏の手続き
婚姻前の氏に復する場合には、家庭裁判所の手続きを経ずに市区町村の役所へ届出をすることで実現します。ただし、届出を行う期限が設けられている場合があるため注意が必要です。
準用される第769条の規定
第751条第2項では、第769条(離婚後の復氏手続き)が準用されるため、以下の規定が適用されます。
- 生存配偶者が婚姻前の氏に戻る意思を示すため、届出を行う必要がある。
- 復氏の届出がない場合、婚姻時に使用していた氏を引き続き使用する。
- 子どもの氏の変更に関する手続きについても、必要に応じて家庭裁判所の許可を得る。
第728条第2項の準用
第728条第2項では、配偶者が死亡した場合の姻族関係の終了について規定されています。これを準用することで、生存配偶者が婚姻前の氏に戻った場合でも、姻族関係の整理が適切に行われます。
復氏しない場合の選択肢
復氏しない場合、生存配偶者は婚姻時の氏をそのまま使用することができます。これにより、社会的な認識や手続きの簡略化を望む場合に対応可能です。
民法751条についての質問
- Q: 生存配偶者が復氏を選ぶ場合、期限はありますか?
- A: 原則として、配偶者の死亡後、届出を速やかに行う必要がありますが、法律上の期限は特に設けられていません。
- Q: 復氏した場合、戸籍はどうなりますか?
- A: 復氏した場合、新たな戸籍が編成されます。従前の戸籍から分籍する形となります。
- Q: 子どもの氏はどうなりますか?
- A: 子どもの氏は原則として変わりません。ただし、生存配偶者が復氏し、子どもの氏も変更したい場合は家庭裁判所の許可が必要です。
- Q: 復氏後に再度氏を変更することは可能ですか?
- A: 一度復氏した後に再度変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。