民法第726条は、親族間の「親等」の計算方法について規定しています。親等とは、親族間の世代数を数えてその親密度を測る基準であり、法律上の関係性を明確にするために重要です。以下に具体的な内容を解説します。
民法726条 親等の計算方法
第726条 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
2 傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による。
直系親族の親等計算
直系親族とは、親、子、孫のように直接的な血縁関係を持つ親族のことです。この場合の親等は、当事者同士の間にある世代数をそのまま数えます。例えば、自分の親は1親等、祖父母は2親等、曾祖父母は3親等となります。
「横の人」は「上の人」を経由して親等を判断します。線を引くイメージを浮かべながら数えるとよいでしょう。
以下に例を挙げます。線(矢印)の本数が親等数になります。
| 一親等 | 自分→親 (直系) 自分→子 (直系) |
|---|---|
| 二親等 | 自分→親→親(祖父/直系) 自分→親→子(姉/傍系) 自分→子→子(孫/直系) |
| 三親等 | 自分→親→親→親(曾祖父/直系) 自分→親→親→子(叔母/傍系) 自分→親→子→子(甥/傍系) |
| 四親等 | 自分→親→親→子→子(従姉妹) |
傍系親族の親等計算
傍系親族とは、兄弟姉妹やおじ・おば、いとこのように、直系以外の血縁者を指します。この場合、親等は次の手順で計算されます。
- 当事者の一方(またはその配偶者)から共通の祖先にさかのぼる。
- その祖先からもう一方に下る。
- さかのぼりと下りの世代数を合計する。
例えば、兄弟姉妹の場合、共通の祖先は両親です。本人から親まで1世代、そこから兄弟姉妹まで1世代の合計2世代となり、2親等と計算されます。
親等の計算が重要な場面
親等は、さまざまな法律問題で基準となります。たとえば、扶養義務、婚姻に関する制限、相続権などでは、親族間の親等が考慮されます。そのため、正確な親等計算は、法律上の判断において欠かせない要素です。